114 奥付

Editing postscript
四半世紀という時の疾さ……


 皆様、お久しぶりでございます! 7年前に休刊となりましたCARBOYがリターンしてまいりました。思い起こせば30ウン年前、自動車修理の雑誌として誕生したCARBOYという雑誌が、あれよあれよというまに「TUNING」という言葉を生み出し、世に隠れていた存在であった改造ノウハウや改造車を、チューニングKNOWHO、チューンドカーとして、スポットライトを浴びせるようになりました。そして、その後同様な雑誌の創刊等もありまして、時代は一気にチューニング時代へと突き進んでいくことになりました。
 しかしながら、その現象も、今は昔。ハイブリッドだ、自動運転だと、とんでもない時代になろうとしております。ですが、むかしもいまも、スポーツカーを欲している員数というのは、非常に限られたものなんです。ほとんどの人達は、足代わり、荷台代わりにクルマという『道具』を使っていて、それで満足していらっしゃるわけです。
そこに、「レスポンス」だの、「ダイレクト感」
おまけに「強烈な加速G!」なんてものは、まったくと言っていいほど必要とされていないものなんです。ですが、少数派ではあるものの、そういうことにこだわりを持っている人種も、少ないけれど、確実に存在するというのも事実。
   ◇     ◇     ◇
先日、柿本さんとお話する機会がありました。柿本レプリカを作ったときに、テストベンチにかけるために、富士のペンションに泊まっていたときのこと、食事を終えると、一緒に食べていたヒトがツカツカッと寄ってきて「柿本さんですよね。ファンです。サインしてください!」……チューナーと呼ばれる人種にサインを求める場面に、初めて遭遇しました。そんなことを話していると、
「鈴鹿とか、いろんなところで走ったけど、僕の一番のドライビングは、CARBOY0→1000mで、真っ暗ななか、バンク手前の投光機だけを目印に走ったときやったな~。あれは凄かった」
そう話すときの柿本さんの視線は、なにやら、充実した時間というか、そういうものを見ていた。


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 CARBOYという雑誌は、そういうヒトに向けての出版でありました。しかしながら、
 インターネットの普及、スマートフォンの台頭。もはや、これなしでは生きていけないというひとも多々いると思います。そんな時代でも、雑誌のいいところ、大きな写真掲載の迫力……そういうものは、まだまだ捨てたもんじゃないと思います。ですから、今回は、雑誌としては初の試みであろうと思われる『雑誌とWEBサイトのいいところどり』を試みてみました。
 これまで使われていたQRコードの行先は、商品紹介であったり、単なるHPだったりですが、今回のWEB連携は、雑誌の延長&誌面の拡大だと考えていただけると嬉しいです。
 雑誌を読みながら、その傍らにスマートフォンを置いておいていただいて、気になるページがあれば、スマートフォンで連携したページを覗いてくださいませ、そして、また雑誌の誌面に戻っていただくような使い方をしていただければ……
雑誌屋冥利に尽きます(藤本愼一)